第42回中央委員会(2009.1.31〜2.1)
通信労組 第42回中央委員会開催
2009年1月31日〜2月1日/京都市
 
 
まもろう雇用と生活、なくそう貧困と格差
いかそう憲法、きずこう平和
とめようNTTリストラ、めざそう信頼・安心の情報通信
 
挨拶する山田委員長
 通信労組は1月31日から2月1日、京都で中央委員会を開催し、春闘方針を全員一致で決めた。
 この間、全国で取り組まれた春闘要求の基本となる春闘アンケートの結果、生活実感がますます苦しくなったという8割近い回答を受け、賃上げ3.5万円(非正規雇用労働者の時給250円)要求を決定した。冒頭、山田委員長は「09春闘本番を迎え、米国に端を発した金融危機に対し、昨年末からトヨタをはじめいすずやキャノンなど企業の「派遣切り」が横行し、それに対して「年越し派遣村」の開設をはじめ全国的な非正規雇用労働者に対する国民的な支援が大きく広がった。同時に泣き寝入りせず労働組合を結成して闘う労働者の姿が全国的にマスコミに取り上げられてきた。3月末には期間雇用労働者の40万人にも及ぶ大量解雇が予定されているとも言われ、労働組合の果たす役割がますます重要になっている。この情勢を受けて、全労連の3月から5月にかけての非正規雇用労働者の組織化を通信労組としても全力で取り組みたい。経営側の賃下げを目的としたワークシェアリングの狙いを粉砕し春闘を全力で闘いたい。NTTリストラ裁判で大阪高裁判決は、大阪から名古屋への配転は業務上の必要性がないとNTTの異職種・遠隔地配転を断罪し、原告に慰謝料の支払いを命ずる判決を下した。これは中労委の通信労組に対する不当労働行為認定判断に次ぐ大勝利判決だ。一方、北海道の奥村さんの高裁差し戻しで、NTTの安全配慮義務違反は確定したものの、過労死の要因をリストラによる退職・賃下げ再雇用の選択や長期の宿泊を伴う研修によるストレスを認めた二審の判決を大幅に変更し、本人の基礎疾患を基本的要因とする不当な判決だった。今後も全国の支援をいただき裁判勝利ために頑張りたい。最後に総選挙の年、大企業いいなり、アメリカべったりの自公政治から国民の暮らしと平和を守る政治に改めるために、国民運動の先頭に立って全力で闘いたい」と挨拶。
 大会では「中労委の勝利命令や大阪高裁のNTTリストラ裁判勝利に確信をもった」「50歳退職・再雇用制度に納得できず相談会に参加して、通信労組に加入」「非正規雇用労働者が職場で配布されている機関紙を見て加入」「ホームページを見て一番頑張る組合が通信労組と確信し、直接本部に電話して加入」などの経験が豊かに紹介されました。
 最後に「まもろう雇用と生活、なくそう貧困と格差、いかそう憲法きずこう平和」「とめようNTTリストラ、めざそう信頼・安心の情報通信」のメインスローガンや7本のサブスローガンを確認して、満場一致で春闘方針を決定しました。

山田 忍 中央執行委員長のあいさつ
 
 連日のご奮闘ご苦労さまです。
 第42回中央委員会に際しまして、中央執行委員会を代表してご挨拶を申し上げます。
 今中央委員会は、09春闘本番を迎えるに当たって、アメリカ発の金融危機が日本経済を直撃し、年末年始を挟んでいっそうの危機が進行している中で、いすゞやキャノン、トヨタなどの大企業で働く「非正規雇用労働者」が労働組合を結成し、「非正規・派遣切り」に対して、たたかいを開始したこと。また「年越し派遣村」がマスコミの注目も集めて、政府・厚生労働省、地方自治体を動かし、少なからずその役割を果たさせる方向に大きな力を発揮したことなど、国民が年末から切り開いてきた局面と、同時に私たちの第33回定期大会以後、激変する情勢とたたかいの新たな発展の可能性を共有することと併せて、たたかいの意思統一をはかることが最大の任務であります。自動車、電機など輸出大企業が減産を余儀なくされ、トヨタを皮切りにした大企業が、派遣や期間工を解雇する、「非正規・派遣切り」は他の産業にも及ぶようになり、派遣労働者の契約期間が切れる2009年問題と併せて、およそ年度末には40万人の派遣・請負労働者が寒空のもとに放り出されるといわれ、大きな社会問題になっています。大企業の身勝手な首切り辞めよ、内部留保を使って社会的責任を果たせという、世論の高まりの中で、官房長官も内部留保問題に言及せざるを得ない事態にまで発展させてきた現局面を労働者国民の大きなたたかいに今後どう発展させるのか、私たち通信労組がその中でどうたたかい、どう役割を果たすのか、ここの意思統一がきわめて重要であります。しかし、官房長官のそういった発言、あるいは昨日の国会での麻生首相の、「こういう非常時こそ労働者の雇用と生活をしっかり守るよう、最大限の努力をしていただきたい。」「経営者が従業員を大切にし、意欲を引き出すような経営が、結果として企業価値の向上につながる。」こういう答弁をしているハナから、今日の新聞を賑わしましたけれども、NECが2万人の削減、日立が7000人削減する、こういう報道がされました。まさに財界・大企業とのせめぎ合いが、極めて鋭い形で現在たたかわれています。

 さて、昨日「奥村過労死裁判」差戻審の判決が下されました。結果として、本人の基礎的疾患、これが死亡に対する基本的な原因だ、それでいけば、7割減が相当である、として慰謝料を削減する判決を下しました。理由にこの病気の状態について、一般的に死亡率は男性で54歳、女性で69歳、こういう根拠を持ち出して、3割まで落とした。昨年の中労委勝利、1月15日の大阪高裁に続いての勝利を確信していたのですが、若干突き落とされました。しかしながら、10月31日の中労委命令では、少数といえども、企業に併存する労働組合が複数ある場合の「不当労働行為」についての中労委の立場を明確にした画期的な判断でありましたし、大阪高裁判決についても、いろいろ中身はありますけれども、一番おおきなのは、全員が地元に帰っているもとで、配転を争った事例の中で、その人たちにまで慰謝料を払うなんていうのは、過去一つもなかった。40万円支払え、このことは極めて画期的で、新しい境地をまたこの大阪高裁で開いた。このことに最大の確信を持つべきだ、いうふうに思っているところです。

 さて今日、中央委員会の議案に対する各支部の意見の中で、「偽装委託」問題について、若干の質問等意見が出ています。元々この「偽装委託」という概念、言葉どこにも見あたりません。実はこれは東日本の「構造改革」組織改革ステップ2、そして西日本の「業務運営体制見直し」という事で、私は持株社前で「偽装委託だ」と批判したことから、この言葉が始まった、彼らは「委託だ」「アウトソーシングだ」と称しますけど、結果として東・西会社とも、地域子会社の、委託される側代表取締役社長と、委託する側NTT支店長が同一人物、これは偽装でなくてなんだと、このことを申し上げたんです。あちこち弁護士さんとご相談し働きかけもしましたけれども、この度、地域子会社へのアウトソーシングと併せて50歳以下の労働者が在籍出向することについて、「業として行われる」在籍出向は違反になるという具体的な職安法44条、これに抵触するのではないかと、一時的なものでもないし、文字通り自分のところは元々やっていた業務をやる、つまり労働者供給事業にあたるというもので、このことについて私たちはあらためて、この問題について社会に働きかける、問いかけるということとあわせてNTTを攻めあげたい。特にこれは大阪高裁以後、「構造改革」路線そのものに、正面からたたかいを進めるという立場からも、こういうたたかいを通じて、進めていきたいと思っているところです。

 さてそういう状況の中で、財界の経労委報告とありますけれども、とどのつまり、企業の腹を痛めず正規の賃下げとセットでしか、経労委のいう方向はありません。これでは、国民の消費購買力は下がりつづけ、ものが売れずに内需が地域経済は益々冷え込む、こういう悪循環が重なるだけであります。あらためて、抜本的労働者派遣法の改正を含めて、抜本的な改正を実現するために共同した取り組みを私たちは強めていきたいと思っています。

 09春闘は、危機的な日本経済を立て直す起爆剤として、政府・財界に本当に内需拡大に舵を切らせる契機にさせるために、「誰でも1万円以上の賃上げ、首切りを許さず、雇用を守り、最低賃金の大幅引き上げ」という要求を全労連・春闘共闘、一斉に提出し、交渉の場を設定し、粘り強く要求実現を迫っていきたいと思います。とともに、これ以上の雇い止めをストップさせ、「大企業は社会的責任を果たせ、内部留保を使って雇用を守れ」、こういった世論を大きくし、不況のしわ寄せを非正規や中小企業に押しつけさせない取り組みが極めて重要であります。09春闘をさらなる共同の発展と、経済の仕組みの転換を図れという世論が生まれる絶好のチャンスにしたいと思っています。

 最後に、今年は総選挙の年であります。麻生内閣の早期退陣を求め、解散・総選挙で国民の信を問い、大企業言いなり、アメリカべったりの政治をあらためさせることが、国民の暮らしと平和を守る道筋であります。全労連、通信労組はそういった労働者のたたかいと国民運動の先頭に立ち思い切って共同を広げる活動として展開する決意を申し上げ、あいさつとします。ありがとうございました。(拍手)

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