高年法の改正趣旨まで無視する極めて不当な判断 | |
判決報告集会であいさつする3原告 | |
大阪地裁は11月14日、NTT西日本を60歳で定年退職した元労働者3人(みなし満了型社員)が就業規則の規定で継続雇用が認められないのは高年法等に違反すると訴えていた裁判で、原告らの訴えをいずれも棄却しました。 原告ら3人は、2013年3月から2016年3月の間にNTT西日本を60歳で退職し、厚生年金の報酬比例部分の支給繰り下げにより60歳以降に無年金の期間が生ずる世代です。 高年法は2013年4月に改正施行され、希望者全員の65歳までの雇用確保措置が義務付けられています。 裁判では、高年法の改正施行前・後それぞれで、NTT西日本の就業規則がグループ会社での継続雇用を「退職・再雇用」者に限定していること等の是非が争われました。 判決は、高年法の改正施行前・後ともにNTT西日本が自社での継続雇用制度を設けていないことを容認し、さらにグループ会社での50歳以降の「退職・再雇用」賃金と60歳以降の賃金を合わせても「満了型」の賃金に満たない事実を認定したうえで、高年法は「9条の趣旨に反しない限り、各事業主の実情に応じた柔軟な措置を採用することを許容する」として原告らの訴えを退けました。 また、原告らの継続雇用の「期待権」や、無年金・無収入の期間の発生を防ぐという高年法改正の趣旨に反するという主張についても、「退職・再雇用」制度導入の必要性を認めて継続雇用者を限定する規定に違反はないとしました。 今回の判決は、「退職・再雇用」制度導入の会社側主張を鵜呑みにしたうえ、無年金・無収入期間の発生防止という高年法の改正趣旨まで無視する極めて不当な判断と言わざるを得ません。 |
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文:職場新聞ケーブル2054号より | |
声 明 | |
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