新年のあいさつ
  組合員・ご家族のみなさん
  全国のNTTグループで働く仲間のみなさん
  新年、あけましておめでとうございます。
  内需拡大・日本経済再生へ、今年も奮闘しましょう
 
 昨年12月8日、最高裁第3小法廷(近藤嵩晴裁判長)は、NTTリストラ事件・大阪訴訟について、会社側、組合側双方の上告をいずれも棄却し、大阪高裁判決が確定しました。
 大阪高裁判決は、新幹線通勤または単身赴任を余儀なくされることによる生活上の不利益を広く認め、家族介護や本人の健康への企業の配慮義務違反を厳しく断罪しました。名古屋配転(大阪から名古屋への配転)原告17名への総額900万円の慰謝料支払いを命じ、大阪配転(地方から関西への配転)についても、結論として必要性は認めたものの、「アウトソーシングによって担当業務がなくなったために、新たな業務を創出する必要が生じた」からという、消極的な理由でしかありませんでした。
 この最高裁判決によって、NTTの非道な労務政策が断罪され、とりわけ、名古屋配転の業務上の必要性そのものが否定されたことは、通信労組組合員へのNTTの不当な動機目的が裏づけられました。また、企業の労働者に対する情け容赦のない一方的な配転命令に歯止めをかける判決でもあり、極めて大きな勝利であることを、新年を迎えて、皆さんとともに喜び合いたいと思います。
 静岡・松山裁判の高裁判決、札幌およびNTT企業年金裁判の最高裁判決、中労委命令行政訴訟の地裁判決が相次ぐ今年、この勝利判決を力に、違法・脱法のNTT「50歳退職・賃下げ再雇用」制度廃止、生活破壊・家族破壊の遠隔地配転解消の具体化を実現する年にしたいと思います。
 また今年は、自公政権を退場させた新たな情勢を力にして、「アメリカ言いなり、大企業中心」政治の二つの異常をただすために、参議院選挙勝利のために奮闘することも重要なことです。

春闘勝利は大企業の内部留保の還元こそ

 新しく誕生した民主党政権が、部分的には国民・労働者の要求を反映した政策を掲げながら、財界・大企業中心の大枠から抜け出せず、「迷走」しています。
 不況のなかでも内部留保を溜め込み、それを投機に回し、内需を一層冷え込ませ、さらに不況を加速させている日本の大企業こそ、今や、日本経済再生への最大の障害となっています。
 日本の大企業は、98年からの10年間で内部留保を倍加させました。この内部留保は、賃金の切り下げや非正規労働者の大量活用・解雇など労働者の犠牲と、下請単価切り下げなどによる中小企業への犠牲転嫁によって不当に溜め込まれたものです。
 労働総研の試算では、この10年間の内部留保上積み分が労働者と社会に還元されて市場経済(内需)へ還流するなら、国内需要が263兆円拡大し国内生産が427・7兆円拡大すること。付加価値は231・3兆円拡大し、税収入は41・1兆円増になります。
 その中身は、@最低賃金を「時給1000円」に引き上げ、A非正規の正規化と働くルールの確立、B税、寄付金などによる社会還元、C生産、環境設備などへの投資、D全労働者への賃上げなどで、どれも労働者の切実な要求であり、その実現が差し迫った課題になっているものばかりです。
 大企業の横暴をやめさせ、労働者の切実な要求を実現していくことは、日本経済を、雇用の減少→内需縮小・外需依存→国内生産縮小→雇用の減少-という “負の循環”から、賃金収入の増加→内需の拡大→国内生産の増加→雇用の増加という“プラスの循環”に変えるたたかいであり、日本経済再生への決め手です。
 国民のライフラインを担い、公共性の高い企業群でありながら、NTTの連結決算でも、この1年で7573億円も内部留保を上積みしています。リストラや非正規労働者への置き換えなどがその源であり、海外への株式投資、自社株買い、株主配当増加に振り向けられています。
 今春闘の最大の課題は、大企業の内部留保の還元を迫ることです。職場から非正規労働者とともに、世論を変えるたたかいへともに奮闘しましょう。
 
山田 忍 通信労組執行委員長