23春闘 暮らしの危機をはねかえそうを | |
JMITU通信産業本部宇佐美俊一委員長に聞く | |
先進国では20年来、日本だけが賃金が上がらない異常な国になっています。 円安と物価高騰でひっ迫した生活と暮らしの危機を跳ね返すには、生活改善にむけ国民総ぐるみで労働組合の力を強め、大幅賃上げ実現にむけてたたかうことを、求められているのが23春闘です。 |
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新年明けましておめでとうございます。 今までにない厳しい生活状況下での23春闘ですが、どのようなたたかいになるのでしょうか。 |
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異常な物価高騰が続き、年明けからも生活関連物資が次々と値上げを予定しています。 それに伴い実質賃金は昨年4月以降、7カ月連続で前年同月比マイナスとなり、標準世帯の一カ月の負担増が1万円を超え、大幅賃金引き上げの実現でしか実質賃金と生活改善は望めない状況となっています。 岸田政権は「23春闘で賃上げを促し、中長期的に学び直しなどで企業の生産性を高める」と述べながら、「企業成長」で「労働者分配」の破綻した旧政権論理を引きずる主張を繰り返しています。 経団連は、会員企業に「積極的な賃上げ要請の方針を固めた」と述べていますが、企業判断に任せることは変わりません。 連合は、ベースアップ要求を3%程度、定昇分2%を加え5%程度の賃上げ目標ですが、ベースアップ3%では物価高騰分にも満たず、実質賃金低下を補い生活向上を目指すには程遠い目標です。 一方、全労連は統一要求基準として「賃金の10%以上の引上げ」を打ち出し、JMITUも統一要求基準を今までより引き上げる「一律4万円以上+格差是正」を基本に職場討議での決定を求めています。 |
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低下する賃金にNTT労働者のガマンも限界 | |
通信産業本部の23春闘要求アンケート中間集計(22年11月末)には、今までにない厳しい生活改善を求める多くの労働者の声が寄せられました。 社員(正規、契約社員)の「生活実感」は、「かなり苦しい」「やや苦しい」が昨年の52.9%から65.6%に急増。派遣・契約社員はさらに深刻で、「やや苦しい」が昨年の44.2%から36.7%に減る一方、「かなり苦しい」が昨年の36.2%から40.6%に増加、「かなり苦しい」が「やや苦しい」を上回りました。 「仕事や職場の不満や不安」で、社員の「賃金が安い」が昨年の49・7%から61.5%へと約12%も増加し突出した回答になっています。 「賃上げ要求額」も昨年の2万3199円から3万2271円へと9072円も増加し、初めての3万2000円超えです。 派遣・契約社員でも「賃金が安い」が昨年の65.8%から76.6%に急増し、「賃金引上げ要求額」も昨年の時間額240円から258円に大幅増となり、物価高騰や実質賃金低下が生活を圧迫している実態がアンケート結果にも表れています。 切実なNTTグループ労働者の要求に応えるには、最低でも賃金の10%以上の要求を掲げ、ストライキで要求実現回答を引き出すまで妥結することなく、全職場で団結したたかうことが、23春闘では求められています。 |
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要求にこだわり暮らしを守る責任を果たさせよう | |
NTTグループでは2000円程度の回答が数年続いていますが、他企業にも例を見ない超低額回答・一発妥結を続け、産別賃金引き下げの役割を果たしています。 NTTは労働者犠牲の株主優先経営で莫大な利益を上げ、内部留保は昨年より769億円増の9兆444億円ですが、社員は4月から基本賃金引き下げの「ジョブ型」賃金処遇制度の実施を予定。 4年間の経過措置を設けても、措置終了後は実質賃金引き下げです。本来経営者は労働者の暮らしを守る責任があります。 経営者に労働者の生活を守らせるために23春闘は改善要求を掲げ安易な妥結をせず頑張りぬくことこそが勝利への道です。 |
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JMITU通信産業本部 執行委員長 宇佐美 俊一 |
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