NTTリストラ裁判東京高裁・不当判決
 本日、東京高等裁判所第20民事部(裁判長宮ア公男、裁判官山本博、同今泉秀和)は、NTT11万人リストラを強行するために行われた異職種・遠隔地配転の効力を争っていた9人の控訴を全面的に棄却する不当な判決を言い渡した。
 
 
声   明
 
 本日、東京高等裁判所第20民事部(裁判長宮ア公男、裁判官山本博、同今泉秀和)は、NTT11万人リストラを強行するために行われた異職種・遠隔地配転の効力を争っていた9人の控訴を全面的に棄却する不当な判決を言い渡した。
  NTT東西会社は、2002年から、100%出資の外注会社(OS会社)を新設し、業務を丸投げした上で、満50歳以上の社員約6万人に対し、基本賃金が3割下がるOS会社への転籍を強要した。これに応じなければ、今までの業務能力を全く活かせない職場に配置して成果主義を徹底し、家族と共に生活ができない全国転勤を一方的に命じるという威迫をして、このリストラを強行したのである。こうした違法なリストラにより、東西会社の100%持株会社であるNTTは、巨額な利益を上げている。そして、NTT東日本は、単体でも毎年1000億円近い経常利益を計上し続けているのである。こうして彼らは「グループ利益の極大化」という目的を達したのである。
 
 控訴人らは、OS会社への転籍に応じなかったために、2002年に、北海道、宮城、山形、新潟、群馬などから首都圏へ単身赴任または遠距離通勤を強いる配置転換を命じられた。控訴人らの家族事情、本人の健康状態、スキルや経験はすべて無視された。これらの配転は、転籍に応じないことを理由にいかなる不利益をも課することはできないとする労働契約原理と確立した判例(千代田化工建設事件最高裁判決)に明白に反する、非人間的な不利益処遇であった。しかも、こうした非人間的な措置はすでに6年にわたって続けられている。
 
 東京高裁は、@転籍を拒否したが故の不利益措置であったこと、A本件各配転が他の50歳以上社員を転籍に追いやるための年齢差別の見せしめであったこと、B業務上の合理性も必要性も全くないこと、C控訴人ら及び家族らが著しい不利益を被り続け、しかもそれが6年にもわたっていること、これらすべてに目をつぶり、NTTの利益を一方的に擁護した。同様の判断をした2007年の東京地裁判決に続き、法律や判例にしたがって大企業の横暴を裁くという司法の使命を東京高裁は重ねて放棄したのである。
  しかも、同高裁は、控訴人らが控訴審段階で明白にした@NTT及びNTT東日本が引き続き巨額な利益を手中にしており、本件のような過酷なリストラを行わなければならない必要性はなかったこと、A「転籍に応じなければ遠距離配転にする、新しい仕事は高いスキルが必要で、お前にはできない、NTTには自殺者が多い」などと繰り返し大声で強調し、対象労働者を脅していたことが録音テープに記録されていること、B拒否者に対する「見せしめ」配転を続け、この間に控訴人らの家族らから5人の死者が生じ、2人の女性労働者が往復4時間の遠距離通勤を強いられ続けていること、などの事実にもすべて目をつぶったのである。
 
 私たちは、NTTの利潤至上の違法・脱法リストラによる人権侵害を決して認めることはできない。
  今、日本社会では、労働者の生活と働き方の改善こそが求められている。この判決は、これに逆行するものであって、決して社会に通用するものではない。
  私たちは、公正な判決を求めて、上告して闘う。私たちは、NTTリストラの手法である「50歳定年制」を廃止させ、異職種・遠隔地配転の人権侵害をやめさせるために奮闘する。そしてさらに、労働のルールの確立と人間らしく働き、生きることを求めるすべての労働者、国民と力を合わせて、労働者の生活と権利を守るために、全力を尽くして闘うものである。
 
2008年3月26日
NTTリストラ裁判東京原告団
NTTリストラ裁判東京弁護団
全労連NTTリストラ闘争本部
通 信 産 業 労 働 組 合