偽装請負を助長する判決
 NTTとの労働契約を認めず
偽装請負状態を放置する不当判決
3月23日京都地裁
 
 
 NTT研究所(京都・精華町)で働く請負会社の従業員が一昨年の5月、偽装請負の状態で働かされた上、一方的に契約を打ち切られたとして、NTTとNTT―AT(アドバンステクノロジ―)との間に、労働契約があるとの地位確認などを求めた訴訟で、京都地裁(辻本利雄裁判長、大島真一裁判長代読)は3月23日、「労働契約には使用者と労働者の意思の合致が必要で、NTTは雇用している労働者と認めていなかった」として、NTT―AT、NTTとの間の労働契約を認めず、偽装請負状態については請求を棄却する不当判決を出しました。

 原告は2006年10月、業務請負会社の従業員として採用され、同年11月にはNTT研究所の職場で働き、翻訳ソフトの研究に携ってきました。NTTの業務委託を受けたNTT―ATからさらに孫請け会社の従業員として請負い業務を行うというもので、仕事はNTTやNTT―ATの指揮命令のもとに行われていました。

 NTT側が直接面接して実質的に採用していましたが、判決では「単に適正をみるためだった」と労働契約の成立を不当に歪めました。偽装請負状態については、「労働契約の成否を判断するのに関係ない」と退けました。

 会社は、偽装請負の発覚を恐れ、一昨年の2月に突然、理由を明確にしないまま業務請負会社との「請負契約を打ち切る」と通知。この件でNTTは、京都労働局から職業安定法違反として是正指導を受けていました。

 原告弁護士は「形式上、雇い主にならないように工作するのが『偽装請負』。意思の合致を求めると、すべての偽装請負を認めることになり、脱法を助長する判決である」と批判しました。

 偽装請負は、実態は「派遣」だが「請負」と偽り、派遣先の会社で派遣先の指揮下で働かせる違法行為です。直接雇用義務を免れたり、契約を一方的に打ち切りやすく、労働者が不利な立場に置かれます。使用者責任もあいまいとなるため、労災隠しや不当解雇の温床になっているとして問題視されています。

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