NTTリストラ東京判決
声   明
 

1 本日、東京地裁民事第19部(中西茂裁判長)は、NTTリストラ配転事件について、9名の原告全員について、その請求を棄却した。

2 本件は、NTTが2002年5月から全国規模で行っている「構造改革リストラ」の中で、賃金が大幅に下がる新設子会社への移籍に応じなかった51歳以上の労働者に対して強行された異職種・広域配転の効力を争う訴訟である。
 NTTは、「構造改革」と称して、100%子会社を100社も新設し、ここに法律上義務づけられている固定電話業務を外注するとともに、外注化業務に従事していた労働者のうち50歳以下の者は従前どおりの賃金水準で在籍出向させた。一方、51歳以上の労働者は全員リストラの対象として、NTTを退職し、賃金が2割から3割も下がる新設子会社へ移籍するよう迫った。そして、退職に応じなかった場合には異職種・広域配転となると脅し、対象者の実に9割以上を「退職・再雇用」へと追い込んだ。それでもなお、退職に応じなかった者に対して、「報復」「見せしめ」を目的として強行されたのが本件各配転であった。
 本件各配転は、こうした不法な目的に基づき実施されたものである。配転先での業務への適格性はおろか、経済的合理性も考慮することなく、初めから退職に応じなかった51歳以上の者だけを対象者として、わざわざ遠隔地から原告らを選んで配転したものであり、業務上の必要性もみじんもなかった。さらに、家族を有する50代の労働者に対して、無期限で、単身赴任や長距離通勤を余儀なくさせ、健康や生活上の不利益を強い、原告らと家族の人権を著しく侵害するものであった。本件配転後、原告らの家族は6名が亡くなっている。

3 本判決は、こうした事実のすべてに目をつぶり、黒字経営の超大企業が特定の層の労働者にのみ2割から3割もの賃下げを強いるという、現在の判例法理の下では決して許容されることのない労働条件の不利益変更を実現するために、100%子会社の新設と外注化を利用した脱法的手法を是認した。そして、不利益配転という脅しで移籍を迫る手法についても、選択は「自由な意思」に基づくから不当ではないとした。業務上の必要性も「仕事がなくなったからしかたない」として配転の必要性を個別具体的に検討することなく、人選の合理性は検討することさえなく、簡単に認めた。さらに、原告とその家族らの被った重大な不利益は日本ではどこにでもあるかのように言い切り、原告全員敗訴の結論を導いた。

4 我々は、脱法の限りを尽くした企業再編型リストラを積極的に容認し、巨大企業の儲けの自由に奉仕する極めて不当な本判決に対して強く抗議する。我々は、このような不当な判決は決して社会に受け容れられないものと確信する。NTTは、一刻も早く非人道的な本件各配転をやめ、原告らを地元に戻すべきである。

 我々は、今後とも、本件の全面解決を求めて闘う決意である。

2007年3月29日
NTTリストラ東京訴訟原告団
NTTリストラ東京訴訟弁護団
全労連NTTリストラ闘争本部
NTTリストラ裁判東京原告団支援共闘会議
通信産業労働組合