提  言(機関紙『通信労組』第311号)
大阪・東京での不当判決は5千万雇用労働者への攻撃
2007年4月5日
 
 3月28日、大阪地裁は原告23名中、後藤組合員を除く22名がすでに退職もしくは地元に再配置されているもとで、配転時に家族介護・看護の必要があった神野・村上組合員と病気を抱える市田組合員の3名に、慰謝料支払いを命じ、配転が違法であったと断じました。後藤組合員についてはその申し立てを却下したものの、会社に対し「健康上の状況を確認し、その状況を十分に踏まえて、時宜にかなった適切な配慮」を求める判決を下しました。
 しかし、全体としては会社の主張する配転の業務上の必要性を安易に認め、高年齢者の遠隔地配転の不利益性を軽視する不当判決というほかありません。続く29日の東京地裁判決は、原告九名全員の請求を却下する不当判決そのものでした。NTTリストラそのものを当然の経営判断として簡単に認めるとともに、配転の業務上の必要性を「業務を外注化したのだから配転は当然」と言い放ち、雇用形態選択それ自身も本人同意を強調して、「自由な選択」が保障されたものとして積極的に容認しました。
 いま、財界の異常な強要のもとに「残業代ゼロ法案」「解雇の金銭解決」「就業規則の一方的不利益変更の合法化」が画策され、労働者の働き方、働かせ方が極端に歪められようしている時、この大阪に続く東京での不当判決の流れは、日本の5000万人の雇用労働者全体にかけられた攻撃にほかなりません。通信労組はこの攻撃に対し徹底してたたかうことを決意するものです。
 さらに東京地裁判決は「構造改革」の合理性と必要性を認めるその決定的後押しとして社員の圧倒的多数を組織するNTT労働組合が了承していることを持ち出しており、不当判決の根底には、少数組合の権利を認めない立場があります。通信労組の最重要課題として、目に見える組織拡大の旺盛な展開で展望を切り開きましょう。