提  言(機関紙『通信労組』第331号)
景気回復は内需拡大で 09春闘は組合員拡大で
2008年12月5日
 
 アメリカ発の金融危機は、日本経済と国民生活に深刻な影響を与えています。アメリカの市場が冷え込み、円高が急速に進むなかで日本企業の輸出や現地生産が急減。大企業が軒並み、非正規雇用労働者の大量解雇、正規労働者のボーナスカット、新規採用の抑制、下請け企業整理などのリストラ策をつぎつぎ展開しています。すでに、トヨタ、日産、マツダなどの自動車産業やキャノンをはじめ製造業での派遣労働者、季節工などの雇用打ち切りが相次ぎ、不動産・建設、小売、サービス業でも倒産件数が急増し、大量の雇用問題が発生しています。
 株価暴落で多額の不良債権をかかえた銀行は、中小企業などに対して貸し渋りや貸しはがしをするようになり、黒字企業でさえ運転資金が得られず倒産に追い込まれる事例も増えています。しかし、景気後退にもかかわらず、大企業の経営状態は深刻ではなく、収益減少のツケを従業員や取引業者に転嫁するだけであり、金融危機や景気後退を逆手にとった更なる高収益体制作りです。こうしたリストラ政策の展開は、ワーキンギプアと失業を増大させ、内需の縮小とさらなる国内生産の減少を招き、日本経済の行き詰まりを一層悪化させるだけです。
 労働総研の試算では非正規雇用の正規化363万人、サービス残業根絶による雇用創出118・8万人、年休完全取得など働くルールの厳守による雇用創出154万人の実現で国民経済の消費需要は14兆円増加し、GDP(国内総生産)を2・52%押し上げ、それだけで日本経済を好況に導きうる水準です。経済を内需中心に転換するしか景気回復はありません。
 この1ヵ月、雇用止めの危機に直面する非正規雇用労働者からの労働相談は7件、大阪では「アンダー50の懇談会」に予想もしない8人が参加しました。組合員を思い切り増やして09国民春闘をたたかいましょう。