NTTリストラ静岡裁判・東京高裁判決
NTTリストラ静岡裁判・東京高裁判決
「請求棄却」の不当判決!
9月15日東京高裁
<声 明>
 
あいさつをするリストラ静岡裁判原告ら
 
 NTTリストラ静岡裁判は、9月15日、東京高裁民事第23部(鈴木健太裁判長)において、一審原告らの控訴を棄却する不当な判決が出されました。企業の裁量権を認め、人権感覚を喪失した判決に怒りが沸き起こっています。

 東京高裁の法廷では、顔を下向きにした裁判長が10秒ほどの判決文を読み上げると、満席の傍聴者からは「とんでもない」「今までの審理はなんだったのか」と怒りの声が上がりました。
 この東京高裁は、先のNTTリストラ東京裁判の判決を持ち出し、企業の裁量権を限りなく広範に認め、NTT西日本の経営が危機的状況になかったとしても今回のリストラ計画は合理的な経営上の判断だとし、配転についてもその業務上の必要性は余人を持って替え難いといった高度のものである必要はないとしてこれを安易に認めてしまいました。また、配転による一審原告らの不利益は受忍限度の範囲内だとして、NTT西日本の違法の全てを不当に免罪してしまったもので、憲法感覚も欠如した到底容認できないものです。
 NTTリストラ裁判では、すでに最高裁で確定した大阪裁判、北海道裁判は、企業の業務上の必要性を認めず、個人の肉体的・精神的負担等の不利益を認め、原告らに慰謝料の命令をしています。さらに、松山裁判の高松高裁判決では、再配転について「配転命令権を濫用した違法な命令」だ、と断罪していました。
 弁護団は下記の声明を発表し、9月24日に原判決破棄を求め最高裁へ上告しました。

 
<声 明>
 
NTTリストラ静岡裁判 東京高裁不当判決に対する声明
−労働者の痛みを理解しない憲法感覚欠如の東京高裁判決 −
 
1.  9月15日、東京高等裁判所民事第23部(鈴木健太裁判長)は、NTTリストラ静岡裁判において、控訴人らの控訴を棄却する不当な判決を下した。
 
2.  本件は、2002(平成14)年5月、NTTグループが「利益の最大化」を図るためにNTT東・西日本において「50歳退職・賃下げ再雇用」を全国規模で強行した「11万人リストラ」が発端である。すなわち、本件は、NTT西日本が、経営危機を打開するためと称して、子会社を新設して主要業務を全面的にこれに委託した上で、50歳に達した労働者に最大3割も賃金をカットしたこの子会社への転籍(退職・再雇用)を強要し、これに応じない労働者には、これまでに経験のない遠隔地での異職種・無期限配転を強いたというものである。
 本件裁判は、このような著しく不利益・不合理な配転を受けた3名の労働者が、この配転は移籍の自由を侵害する配転であり、転籍を拒否した労働者への嫌がらせ・見せしめを目的とする不当な動機・目的を持った配転、業務上の必要性のない配転、年齢差別の配転、60歳定年制を定めた高年齢者雇用安定法に実質的に違反する配転、不当労働行為に基づく配転などとして、この無効の確認と損害賠償を求めて提起したものである。
 
3.  今回の東京高裁判決は、こうした控訴人らの正当な主張を一顧だにせず、企業の裁量権を限りなく広範に認め、NTT西日本の経営が危機的状況になかったとしても今回のリストラ計画は合理的な経営上の判断だとし、配転についてもその業務上の必要性は余人を持って替え難いといった高度のものである必要はないとしてこれを安易に認め、また、配転による控訴人らの不利益は受忍限度の範囲内だとして、これらを前提に論理のすり替えも行なって、NTT西日本の二重・三重の違法の全てを不当に免罪してしまったものであり、憲法感覚も欠如した到底容認できないものである。
 
4.  今日、ワーキングプアや不安定雇用をめぐる諸問題が全国で噴出しているが、これらの問題の根源には、NTT西日本など我が国を代表する巨大企業による労働条件の切り崩しと、労働者の権利に対する侵害がある。 私たちは、不当な労働者いじめを行うNTT西日本と、労働者の権利保護の任務を放棄した今回の東京高裁の不当判決に強い憤りを覚えるものである。私たちは、この不当判決を乗り越え、裁判闘争勝利と労働者の権利の実現のために、今後とも屈することなく、引き続き上告審における勝利をめざして闘うものである。
 
以上
 
2010(平成22)年9月25日
NTTリストラ静岡裁判原告団
NTTリストラ静岡裁判弁護団
NTTリストラ反対闘争静岡県支援共闘会議
全労連NTTリストラ闘争本部
通信産業労働組合