NTTリストラ札幌裁判勝利確定
 石黒原告に150万円の慰謝料を支払え
札幌裁判、最高裁で確定
6月4日最高裁
<声 明>
 
 
 両親介護の必要があった石黒さんを北海道から東京に配転させたのは育児・介護休業法26条の趣旨に違反し人事権の濫用である・・・ NTT東日本会社が2002年5月に強行した11万人リストラで、「退職しなかった」石黒さんに北海道・苫小牧から東京への強制配転を行いました。当時、石黒さんには両親の介護の必要性があったにも拘わらずNTTは人権侵害の異職種・遠隔地配転を強制したのです。石黒さんは、このような理不尽な配転は、育児・介護休業法にも反するもので配転は無効として裁判に訴えていました。

 2009年3月26日札幌高裁は、年老いた両親を介護すべき強い事情があったとし、育児介護休業法第26条の趣旨に反する人事権の濫用があるとして、賠償額を地裁判決の100万円を150万円に増額しました。この高裁判決が6月4日付けでNTTの訴えを退け最高裁で確定しました。

 NTT東日本会社は、この判決を真摯に受け止め、同じように異職種・遠隔地配転を強制している社員を直ちに地元に再配置することです。これが大企業といわれるNTTの社会的責任を果たすことになるのです。

<声 明>
1. 6月4日、最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は、NTTリストラ配転事件(札幌訴訟)について、第一審の原告および被告双方の上告申立に対して棄却を決定した。これにより、原告5名のうち道内配転4名の請求は棄却されたが、苫小牧から東京へ配転された原告石黒について、年老いた両親を介護すべき強い事情があったとし、育児・介護休業法第26条の趣旨に反する人事権の濫用があるとして150万円の慰謝料支払いを命じた札幌高裁判決が確定した。
 
2. この最高裁決定は、巨大企業NTTの労働者の人権を踏みにじる横暴なリストラのあり方を断罪したもので重要な意義がある。また、同じような事情を抱える労働者に対する企業の配転命令を厳しく制限するものであり、高く評価できるものである。
 
3. 本件は、2002(平成14)年5月、NTTグループ各社が「利益の最大化」を図る構造改革として全国規模で強行した「11万人リストラ」による強制配転事件である。会社は、人件費削減のために、51歳以上の労働者を対象にNTT東日本を一旦退職させ、新設子会社に30〜15%の賃金カットで再雇用するという前代未聞の計画をすすめ、97%の社員を退職に追い込んだ。一方で、会社の退職強要を拒否した少数の労働者には、本人の健康や家庭の事情を無視した「見せしめ・報復」の全国配転を強行し、「事実上の50歳定年制」の貫徹を企図した。
 
4. 原告らは、こうした不当な圧力に屈せず転籍に応じなかった労働者である。
原告らが、配転先で命じられた仕事は、住宅・商店街に対するチラシ配布や戸別勧誘、パソコン入力の単純作業、電話受けなどであり、遠距離・異職種配転までして行なわせる仕事では全くなかった。
札幌高裁で取り消されたとはいえ、第一審の札幌地裁は、この事実を正しく認定し、「いずれも業務上の必要性がないのに、配転障害事由(介護等の必要性)があるのに行われたものであり、違法であって、原告らに対する不法行為が成立する」としたのである。
原告らのたたかいが、NTTグループの「11万人リストラ」の本質を社会的に暴露し、厳しい社会的批判を呼び起こし、その意図を貫徹させなかったのである。
 
5. NTTリストラ配転に対して、大阪の配転無効確認等を求める裁判では、昨年12月8日に最高裁第三小法廷決定により、原告17名に900万円の慰謝料支払いを命じた大阪高裁判決が確定している。また、本年3月25日には高松高裁が、原告3名それぞれに200万円の慰謝料支払いを命じる判決を下した。
NTT各社は、本件リストラが裁判所によって厳しく断罪されたことを重く受けとめ、全てのリストラ訴訟について早急に誠意をもって解決するよう求めるものである。
 
6. 原告団と弁護団は、これまでの全国の皆さんの熱いご支援に感謝申し上げるとともに、巨大企業の横暴を許さず労働者が人間らしく働ける職場をつくるために、今後とも違法・脱法の「50歳退職・賃下げ再雇用」制度の廃止と本人同意のない遠隔地配転解消に向けて一層奮闘することを表明する。
 
2010年6月10日
NTTリストラ訴訟北海道原告団
NTTリストラ訴訟北海道弁護団
NTTリストラ訴訟支援道民共闘会議
通信産業労働組合