声明 憲法の根幹を脅かす「特定秘密保護法案」の廃案を求める
2013年11月15日
 
  安倍政権が10月25日に国会提出した「秘密保護法案」は、「特定秘密」の指定事項を、防衛、外交、特定有害活動防止、テロ防止の4分野としているが、その内容があいまいで、首相や防衛相、警察庁長官などの判断で「特定秘密」の範囲が国民生活のあらゆる分野に拡大される危険性をはらみ、行政機関の裁量による指定は、政府にとって都合の悪い情報を半永久的に国民から隠すことも可能となっている。
  法案は、「特定秘密」を漏らした公務員等をはじめ、取材活動や市民団体による調査など「特定秘密」を知ろうとする行為まで処罰の対象となっている。しかも最高で10 年の懲役という厳罰を科すことを骨格としている。また、「特定秘密」を扱う者本人やその家族、親戚、友人に対する警察などの行政機関による思想調査を含む網羅的な身上調査が行われなど、まさに国家による重大なプライバシー侵害であり国民監視、国民選別の社会になる危険性がある。
  法案は、国民の知る権利、報道の自由、取材の自由を侵害し、情報の制限により民主主義と国民の基本的人権の根幹を崩すものである。
  この法案の狙いは、アメリカと協力して「海外で戦争する国」につくり変える動きの一環であり、まさに憲法違反の法案である。
特に重大なことは、安倍政権がこの法案を国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案と一体で成立させ、最終的に集団的自衛権行使に踏み切ろうとしていることである。国家安全保障会議は、国の安全保障にかかわる重大事項をわずか4人の大臣(首相、官房長官、防衛相、外務相)で決定でき、事務局は自衛官が半数を占める。同会議は官庁が保有する秘密条項を集約する権限を持ち、「特定秘密」を収集して国民には極秘にしておく一方で、アメリカの国家安全保障会議(NSC)と緊密に連絡を取りながら、軍事戦略・情報を共有するための受け皿となるこの二法案は、軍事立法そのものと言わざるを得ない。
  通信産業労働組合は、暗黒社会の再現ともいうべき重大な事態に対して、広範な共同によるたたかいを強化して「秘密保護法案」を廃案とするために全力をあげる決意を表明するものである。
 以上
 連絡先・東京都世田谷区松原3-41-15NTT松沢別館内
03-5355-7931
 
 
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