大会宣言(第32回定期全国大会)
大会宣言
 
 通信産業労働組合は、八月二五日から三日間、第三二回定期全国大会を愛知県犬山市で開催しました。大会は、激動する内外情勢のもと、とりわけ参議院選挙結果がもたらした新たな政治の進展を受け、労働者と国民の運動の新たな前進を期す決起の場となりました。

 参議院選挙は、自公政権の歴史的惨敗に終わりました。それは、小泉「構造改革」路線を引き継ぎ、「戦後レジームからの脱却」や「美しい国」を唱えて右翼的暴走を繰り返してきた安倍自公政権への不信任の審判でした。選挙結果は、国民世論が政治を変える新しい時代を開き、労働組合運動の前進にとっても大きなチャンスを作りました。同時に、民主党多数による参議院与野党逆転に対しては、国民的な見定めが必要で、とりわけ、貧困と格差の解消、平和憲法擁護、労働法制改悪阻止などの課題においては、いかなる後退も許さない取り組みが求められています。

 NTTは、二〇一〇年までに三千万ユーザーの光アクセス化と次世代ネットワーク(NGN)への移行をめざし、「中期経営戦略」を押し進めています。それは、新サービスへの人員再配置を含む営業費用の増加と、委託費削減や非正規雇用の拡大による人件費コストの縮減を進めながら、労働者との矛盾をいっそう深めています。また、充分な検証なしに進められる光化は、度重なる通信障害を起こし、公共通信における「安心・安全」の確保は、新たな課題となっています。

 NTTリストラ裁判は、札幌地裁で全員勝訴、大阪地裁では一部勝訴を勝ち取りました。しかし、東京地裁は被告NTT東日本の主張を丸ごと認める不当な判決を下しました。いずれの裁判所もリストラと「退職・再雇用」制度の違法・脱法の認定を放棄しましたが、裁判闘争と支援の広がりは、NTTの違法なリストラを社会的に包囲し、多くの仲間を地元に戻す成果を勝ち取っています。

 組織拡大では、「構造改革」提案以降七六ヵ月連続、二七七名の仲間を迎えています。五〇歳での「雇用形態選択」をきっかけとした加入や、非正規雇用労働者の加入がこの間の特徴となっています。しかし、毎年の退職者を上回る拡大には至らず、組織勢力の後退に歯止めが掛けられていません。

 私たちは、こうした情勢と到達点のもとで、向こう一年間の活動方針を決定しました。その重点は、第一に、「五〇歳退職・賃下げ再雇用」制度を廃止し、働くものの生活と権利を守り、NTTに社会的責任を果たさせる運動を強化する、第二に、職場に根ざした労働組合運動と組織拡大・強化を追及し、次世代役員の育成を行う、第三に、情報通信の公共性を守り、「安心・安全」確保の運動を強化する、第四に、改憲手続法(国民投票法)の発動を許さず、憲法九条を守り、国民諸要求の実現をめざすたたかいをすすめることです。

 労働組合運動の原点に立ち、一致する要求で団結してたたかいを広げるならば、職場や政治を変える可能性が高まっており、組織拡大を大いにすすめ、団結を強めることで新たな発展は可能です。私たちはそのことに確信をもち、本大会で決定した方針にかたく団結して、粘り強く奮闘します。

 右、宣言する。
二〇〇七年八月二七日
通信産業労働組合第三二回定期全国大会