「猫の手通信」 臨時号(6)
2005年8月20日
 
今村先生へのインタビュー
「偽証」を許さない
 NTTリストラ裁判弁護団は8月31日、東京地裁に「準備書面(6)」を提出しました。そこには被告NTT側の証言は「偽証」であるとの重要な指摘がされています。今後の裁判の動向にも大きな影響を持つこの問題について、弁護団事務局長の今村幸次郎弁護士に話しを聞きました。
 
めったにない「偽証」問題
 準備書面にある、偽証というのは今までの労働事件ではあまりなかったように思いますが、裁判で『偽証』というのはどんな問題なのでしょうか
今村  そうですね。証言のあとで、それと全く矛盾する秘密の文書が発覚するということは、あまり今まで聴いたことはありません。それとこれほど組織的にごまかすための証言が続くというのもないことではないかと思います。
 証人は最初に偽りを言わないと宣誓して、裁判が始まりました。それが偽りでは裁判所をも欺くことになり、裁判が成り立たないものです。ですから、避けて通れない問題として、提起したのです
 
真実を示す文書・甲126号証
 大事な問題ということよくわかります。『偽証』というのは具体的には何がそれにあたりますか
今村  私たちが『偽証』と指摘しているのは二つの内容があります。ひとつは甲126号証として裁判所に提出した文書(フレッツネットワークサービスセンタ(FNC)においてネットワーク全体の共有ファイルの中から発見した「BB推進室FNC」名義の文書)の存在です。もうひとつは被告側証言を聞いていると判るのですが、証言はみんな共通した構造になっています。この証言が偽りだということです
 一番目の甲126号証は本件各配転の構造的な特徴を端的に明らかにするものです。「60歳満了型選択者をFNCに受入るにあたっての基本的な考え方(案)」と題するこの文書@は「満了型選択者」のみを対象とする特別の人事対策についてのものであり、FNCは本社の人事部門から「満了型選択者」を受け入れるよう求められたために、どのような受け入れ方が可能か、受け入れ可能な担当部署はどこでそれぞれ何名の受け入れが可能か、を検討したことが示されています。ところが、原告の吉田さんがFNCに配送されるに至った経過は証言した岸本証人は吉田氏ら5名が「満了型選択者」であることさえ知らなかったかのように振る舞いながら、この配置が『満了型』の「受け入れ」指示に基づくものではなく「飽くまでも通常の人事要求に対する配置」であると証言したのです。
 文書Aは、FNCが、FNCへの配属候補者となった5名の「満了型選択者」について、現職や人物像を分析し、具体的な配置業務を決めていった経過を示しています。吉田さんは『通信労組所属』、『少数派政党』、『FNCの文化を大きく否定する思想の持ち主』と分析しています。そのような分析の結果、吉田さんは協調的で責任感のあるTSさんとペアで業務に当たらせるとなったのです。メール配信の時に吉田さんとTSさんの2名が選ばれた経過はこのようなものでした。
 それにもかかわらずこの証人は、自分がメール配信業務の要員として2名の増員を要求したこと、原告吉田らの配置はその要求に基づくものであることをはっきり言い切ったのです。
 この証人は「2名要求して2名認められたというのか、この吉田さん0000ですね」という裁判長の質問に対しても「はいそうです」と答えました。文書Aに書かれたことが真実だとすれと、この証人は裁判長にも平然とウソをついたことになります。
 
共通する証言の構造
今村  各原告の配転元である各支社での人選過程について証言した証人らは、みな「移行業務に従事していた満了型選択者を優先して人選の対象としたと証言しました。そして反対尋問で「満了型選択者の中から選ぶというのは本社の指示だったのか」と聞かれると、これも全員が口をそろえて否定し、それは各支店等の独自の判断にもとづくものであった旨を述べたのです。しかしながら、今回の配転が「満了型退職者」に対する特別な対策として本人の人事部門が主導したものであることが甲126を見れば明らかです。
 また彼らは口をそろえて、各配転先での具体的な人員配置要求に基づく人選指示が本社からなされたように証言しましたが、その本社からの指示が、いつ、誰からのものであったかを聞かれると、皆が言葉を濁し、本社の指示が誰からのものだったのかについては、全員が「忘れた」と証言したのです。もし本当に彼らのいうような本社指示があったとすれば、指示した人物の名前を皆が揃って「忘れる」ことなどありえません。このような異常な証言の共通性は、本件配転に関する人選経過の真実を組織的に隠蔽しようと謀ったことの現れにほかならないのです。
 
敏感な受けとめと力の発揮を期待します
 傍聴していたみんなが感じた原告をほめ殺しするのと反対尋問への『わかりません』の連発はそうした背景があってのことだったのですね。
 こうした『偽証』をどうすべきかの弁護団のご意見をお聞きし、あわせて、サポーターへのご意見もお聞きしたいのですが。
今村  被告側がこれまでの主張を堅持するかぎり、今後予定されている被告側証人も『偽証』をせざるを得ない構造となっているので、これ以上の『偽証』を許しておいてはいけない、それが一致した意見でした。
 NTTのような大企業で、組織的な隠蔽やねじまげがおこなわれている、これで通信のプライバシーや安全は保障されるのか、そう思いますね。
 サポーターの皆さんが裁判の闘いの大事なとき、このことを敏感に受け止められ、この裁判勝利のために一層大きな力を寄せてくださることを期待しています
 
 お話ありがとうございました。

「偽証」を許さないたたかいを
サポーターの皆さんのもっと大きな力を
通信労組中央執行委員長 岩崎 俊
 
 NTTリストラ東京裁判で私たち原告側は準備書面(6)を提出し、NTTの内部文書「60歳満了型選択者を受け入れるに当たっての基本的な考え方」という文書と被告(NTT)側の証人が共通して証言していた「配転は配転先からの要望で適材適所として人選した通常の人事異動」だということが、全く偽りであり,NTT側証人の証言が「偽証」であることを明らかにしました。
 これは原告や通信労組がNTTの強行した異職種配転は、11万人リストラで「退職・再雇用」を拒否したいわゆる「満了型」選択に対し、みせしめやいやがらせのために行ったものだという主張を裏付けしたものです。
 通信労組は満身の怒りをもって、このNTTの「偽証」を告発し、その是正をもとめ、ただちにNTTは原告および広域配転者に謝罪し、すべての者を地元に戻すことを強く要求するものです。
 
サポーターの皆さん
 リストラ裁判は「偽証」を許すのか、それとも「偽証」を許さずNTTの責任の追求、「50歳退職・賃下げ再雇用」廃止の道を開くのかの大きな山場を迎えています。この裁判の勝利のためにはこの「偽証」を許さない大きな闘いが必要になっています。
 わたしたちの今日までのたたかいの前進にはサポーターの皆さんの奮闘が大きな力となりました。サポーターは現在、多くの産業にそして日本各地の人が参加していただき一万人を超えました。財政面でも1000万円を超える闘争資金となりました。
 いま、今日までこの闘いをささえてきたサポーターの力を2倍3倍に広げていただくことが闘い勝利の大きな力です。
 通信労組は国民のための情報通信を守り発展させると同時に、NTTグループ労働者の生活や権利を守るため、NTTリストラに断固反対し、この裁判勝利に向けてさらに奮闘する決意です。
 皆さんの大きな積極的なご支援を心から訴えます。

人道問題として吉田さんの配転協議始まる
 9月2日(金) 11時から東京地裁(13階・民事第19部)で進行協議がありました。4度の自殺未遂をはかった父親の介護のために、人道的立場からも通勤可能な職場に配転せよとの原告側からの問題提起によりもたれたものです。
 協議は裁判長と会社側、裁判長と原告側という形で裁判長を仲介役として部屋を出たり入ったりを繰り返し行いました。
 会社側は@裁判所の意向を踏まえて、10月中に人道的の見地から人事異動(水戸)を行う、Aただし、和解はできないので、異動実施後に原告が訴えを取り下ることが前提である、B業務内容は『受託契約管理、督促』 などとの提示を会社側が行いました。
 原告側は、@裁判所も入っての「協議」に基づく「人事」と評価できること、A不利益の軽減が最優先である ことから、納得できる内容の異動であるのであれば、 訴えは取り下げる方向で対応すると答えました。
 その結果、9月29日の進行協議期日で、会社が、具体的な異動の内容(発令日、異動先、配置業務の内容等)をさらに詰めて提示し、それを踏まえて、原告側の対応を確定する、ということになりました。

参考資料
「準備書面(6)目次
 
編集後記 かも記