奥村さん過労死裁判・最高裁上告審 報告
 
原告(奥村夫人)
 
 2月21日、午後1時30分から「奥村過労死裁判」の上告審が、最高裁判所の第一小法廷で開かれました。2006年7月20日に、札幌高裁で会社側の『控訴棄却』判決が出されて以来、1年7か月後の最高裁での異例の裁判となりました。
 今日の裁判は、会社側が「過失相殺の審理をせよ」との主張について、昨年11月に最高裁の受理・決定に基づいて開かれたもので、会社側20分、原告側10分の口頭弁論が行われました。40の傍聴席に対して、60名がパソコンによる抽選となり、駆けつけた支援者全員が入廷できませんでした。
 会社側代理人は、「過失相殺」を主張する根拠として、「1審では奥村さんの症状を家族性高コレステロール血症(ヘテロ型)に罹患していたという書証の翻訳が不正確であり発見できなかったが、2審ではそれを過失相殺にあたると主張したが認められなかった。最高裁ではそれを認めて高裁判決を破棄されたい。」「奥村氏は基礎的体質として高血圧であり基礎疾患を考慮すべきある。研修にあたり担当医師に相談もせず、本人から研修不参加の申し出もない。旭川から滝川に1人で運転し墓地でスコップ作業をするなどの瑕疵もある」として高裁判決破棄を求めた。
 原告側代理人は「高裁判決は、ガラスの心臓の奥村さんを健康管理Cと知りながら、札幌や東京に長期研修を強いて死に至らせた会社の安全配慮義務違反を認めていただいた事に感謝を表明したあと「@使用者として通常の健康管理をしていれば過労死を予測できたものA1審、2審と双方の提出済みの各証拠にもとづき判断が下されたものであり、審理済みであるから再審理の必要はないB会社は、1審で過失相殺は主張しないとしながら、2審で主張するのは信義則違反であり、速やかに上告を棄却してもらいたい」と主張。  その後裁判長は「双方の主張を聞いた。3月27日、午後3時30分判決」として閉廷しました。
 裁判終了後、全労連会館で報告集会を開きました。集会には、原告の奥村節子さんと息子さんや北海道からの支援者らを初め約50名が参加しました。
 奥村さんは「支援に感謝しつつ最高裁の完全勝利にむけ更に頑張りたい」と決意表明。 高崎暢弁護士は「奥村さんがスコップを使用したなど証拠もない話をむしかえす乱暴な上告理由で高裁判決破棄を求める会社側の言い分を批判」しました。「1審で過失相殺を主張しなかったのは、会社が負けを前提とすることになるのを避けたメンツから」と質疑に答える弁護士も。最後に北海道支部吉田さんの「確実な勝利のために最後まで運動を強める。ご支援を!」との訴えを全体で確認して終わりました。