奥村過労死裁判・高裁へ差し戻し(3月27日 最高裁)
最高裁で勝利確定
(「過失相殺」のみ高裁差し戻し) |
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主文
「原判決を破棄する。本件を札幌高等裁判所に差し戻す」
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最高裁前での傍聴参加の皆さん |
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3月27日、最高裁第一小法廷で奥村過労死裁判(損害賠償請求事件)の判決がありました。
判決後、全労連会館で報告集会が開催され、高崎弁護士から以下の判決内容の説明(要旨)が行われました。 |
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1. |
この判決は、NTTの「安全配慮義務違反」とした責任を免罪するものではない。この点については、すでに最高裁でNTTの上告棄却【経過参照】で確定している。 |
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2. |
一審で過失相殺は主張しないと言っていたNTTが、一転して高裁で過失相殺を主張したため、札幌高裁は「著しく信義に反し、一審の軽視にもつながる」として、審理をしなかったことに対する判決である。 |
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3. |
損害賠償の額を斟酌せず、NTTに全額を賠償させるのは、公平ではないとして、札幌高裁で審理を尽くせということである。 |
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4. |
今後は、虚血性心疾患(死因)の危険因子である「家族制高コレステロール血症(ヘテロ型)」にり患していたことについて争うことになる。しかし、奥村さんは手術後の生活は安定しており、NTTの構造改革が原因であったことは、一審で審理済みである。お医者さんとよく相談し奮闘する。 |
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5. |
奥村さんは、早く確定して欲しいとの願いがあると思うが、もう少し頑張っていただくことになった。これからもNTTリストラ裁判とともに闘っていく。皆さんの一層のご支援をお願いします。 |
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最後に原告の奥村節子さんから「今回の最高裁で終えることが出来なかったのは残念ですが、東京高裁でのリストラ裁判を傍聴し、頑張っている飯野さん・金子さんに連帯して最後まで頑張ります。お二人も健康に留意されて頑張ってください。」とのエールが送られました。
飯野さん、金子さんも深くうなずき今後の決意を新たにしていました。 |
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【最高裁での経過】 |
○ |
上告人(会社)が「上告受理申立理由書」(H18.9.14付)を提出。
「法令違反を犯しており、原判決を破棄されるべき」(理由として以下の4点) |
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第1 |
因果関係について(リストラとの関係) |
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第2 |
過失の認定について(健康への配慮) |
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第3 |
死亡直前の行為に関する申立人の主張を排斥している点について(スコップ作業) |
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第4 |
過失相殺の主張を排斥した点について |
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○ |
最高裁(裁判官5名)は、全員一致で以下を決定(H19.11.26) |
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(1) |
主文1 |
本件を上告審として受理する。 |
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2 |
申立の理由中、第1ないし第3を排除する。 |
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(2) |
主文1 |
本件上告を棄却する。 |
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2 |
上告費用は上告人の負担とする。 |
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(上告理由は、違憲及び理由の不備・食い違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反の主張であり、事由に該当しない) |
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○ |
上告理由の第1〜3については、NTTの上告を棄却し、NTTの「安全配慮義務違反」が確定(H19.11.26) |
○ |
上告理由の「第4」(過失相殺)についての弁論を2008年2月21日に開催 |
○ |
3月27日の判決は、上告受理申立理由第4についてのものである |
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