「猫の手通信」第4号
NTTリストラ反対サポーターの会
『猫の手通信』(第4号)
2005年5月20日
 
東京地裁傍聴記
 NTT側証言はつぎはぎでボロボロ
  「わかりません」の連発
 東京地裁で第13回NTTリストラ裁判が、4月27日113人の傍聴者が参加し、開かれました。法廷に着席すると、赤ちゃんの小さな声が聞こえ、裁判長が傍聴席に向かって「大丈夫でしょうか」と聞いた。そのとき「あーん」という赤ちゃんの声、法廷に一瞬大きな笑いがおきた。珍しい光景だが後に繰り広げられた波乱を垣間見せたような一幕でした。
 裁判は原告の川村滋道証人(中央執行委員)の主尋問から始まりました。川村証人が新しい知識を身につける過程、福島と配転先の神奈川との仕事の進め方の比較、新たな配転の不当性などてきぱきと証言が続き、尋問を通して配転の異常さが描き出されました。
 反対尋問を始めた被告側弁護士は「法廷に出してきた証拠類の中に会社の文書があるが許可をとっているか、秘密の保持の規則を知っているか」など執拗に聞き、あたかも情報の漏洩をして問題視しているかのような尋問を繰り返しました。「異議あり」と原告弁護団の発言に法廷はピーンと張り詰めた雰囲気になりました。川村証人が「見積書の作成は分担してやった」と陳述しても、「ほとんどは専門の人間がいてやったのではないか」など、あら捜しをして印象を悪くしようと懸命の尋問です。
 
被告側証人への反対尋問で法廷は緊張
 次に被告側吉田00証人が証言台に。被告側弁護士が「属人的な内容は聞かない」と前置きして尋問が始まりました。吉田証人は「競走激化の中でユーザー獲得にむけたじゅうたん爆撃の営業活動をすすめた」、「知識はなくとも営業はできる」などと、原告川村証人の個人の営業活動について成績表を持ち出して自分勝手な、そしてちぐはぐな尋問と証言でした。なにが何でも川村証人の欠点を暴きだそうとするがうまくいかずに焦っている様子でした。
 原告側志村弁護士が反対尋問を始めました。「証人は陳述書に、『配転は不当といっている原告は自分の努力不足を棚に上げている』と書いているが、原告の実情を知っているのか」とつめると「詳しい内容はわからない」との答え。「自分の営業部長だったところはどうか」「配転にあたって配慮したか」「―――」答えがない。すると、裁判長が「答えてください」と発言。それに何とかつじつまを合わせる答えをするしまつです。
 原告側小木弁護士の尋問になるといっそう、答えられない場面が続出しました。「陳述書の中の構造改革について書いた部分は誰が書いたのか」の問いに「本社に問い合わせて書いた」。「本社が書いた文章か」証人「書いたのは私です」
 「51歳以上の配転の事情、事実として把握してないのですね」証人「把握していません」
 「営業の際、職場をどれだけ回ったのか知っていますか」証人「わかりません」
 「囲い込みのため法人営業に配置し、目標は達成されたか」証人「されてない」
 「どの位だったのか」証人「わかりません」「そのやり方間違っていると思わないですか」証人「わかりません」。証人は尋問に答えられず黙りを決め込み、「わかりません」の連発。開き直りの証言でした。
 
立場が変わると人も変わるのか
 原告席で尋問を聞いていた原告の飯野和子さんの感想です。
 「今回の会社側の吉田証人は埼玉支店にいた人なので、反対尋問では金子さんや私のことも出されました。私が川越にいたときの仕事の実態は?必要性は?との質問にどう答えるか耳をすませましたが、一般的な答えで埼玉支店のユーザーカバレッジのために配転になったとしか答えられませんでした。私たちは法人営業に適しているということで群馬支店から選ばれて配転させられたわけなのに。
 今回の吉田証人は私が桐生に採用された1年後に窓口担当に採用になった後輩でした。あのころはにこにこしていい青年だったけれど人間、立場が変わると人間性も変ってしまうのでしょうね。今回見てずいぶん人相も変わり陰気な感じだなあと思いました」
(かも記)